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長屋・連棟住宅を売るには|接道と切り離し・再建築不可との関係・相続した場合
長屋・連棟住宅を売る前に確かめたいのは、道路に2メートル以上接しているか(建築基準法第43条第1項)と、棟のうち自分が持っているのがどこまでか、の2点です。長屋の定義は建築基準法の条文になく、自治体の取扱いで示されています。売れにくい理由を直接述べた公的な資料は見つからなかったため、この記事は原文で確かめられた決まりだけを並べます。売却価格の相場は示しません。
このページは、相続した長屋・連棟住宅を手放したい方向けです。再建築不可・借地権・共有名義の詳しい手続きは当サイトの個別のページに任せ、ここでは長屋・連棟だから変わる点だけを書きます。
長屋とは|自治体の取扱いの違い
建築基準法は第30条(長屋又は共同住宅の各戸の界壁)などで「長屋」の語を使いますが、第2条(用語の定義)に長屋の定義はありません。長屋かどうかは、自治体が建築基準法の運用として示している取扱いで判断されます。取得できた3つの自治体の資料を並べます。
| 資料 | 長屋とされる点 | 補足 |
|---|---|---|
| 大阪市(令和8年4月版) | 2以上の住戸を有し、隣接する住戸が開口部のない壁又は床を共有し、廊下・階段等の共用部分がない | 各住戸の主要な出入口が道路か幅3m以上の敷地内通路に面することも条件 |
| 堺市 | 廊下や階段等を共用する部分が無いもの(あるものは共同住宅) | 共用部分の有無は図の形態や構造で判断 |
| 三重県 | 外壁又は屋根が一体であることなどを、長屋として取り扱う条件に挙げる | 界壁は一重が原則。二重なら外壁の仕上げが一体的であること |
出典:大阪市建築基準法取扱い6-1、堺市建築基準法の取扱い3-1、三重県建築基準法取扱集6(2026年10月2日取得)。ほかの自治体の取扱いは物件のある市区町村で確かめてください。
「連棟」の語は、建築基準法・民法・建物の区分所有等に関する法律・不動産登記法の条文にありません。ラクウルは買い取れる物件に「長屋連棟式物件」と載せています。この記事では、壁を共有して棟がつながった住宅をまとめて長屋・連棟住宅と書きます。
売る前に確かめる、原文の決まり
売るときに関わる決まりとして、公的な資料で確かめられたものは次のとおりです。
| 決まり | 原文の内容 | 売るときに関わる点 |
|---|---|---|
| 建築基準法第43条第1項 | 建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならない | 三重県の取扱集は、長屋は一棟を前提に接道の規制がかかり、容易に分割できる構造だと後に未接道の敷地が生じると説明 |
| 建築基準法第30条、施行令第114条第1項 | 長屋の各戸の界壁は、遮音の基準に適合し、小屋裏又は天井裏に達するものなどとする | 長屋の各戸の間の壁には基準がある。既存の建物が満たしているかは、この記事では確認していない |
| 建物の区分所有等に関する法律第1条 | 構造上区分された数個の部分で独立して住居等に供することができるものは、それぞれ所有権の目的とすることができる | 条文に「長屋」の語はない。各住戸を別々の所有者が持つ長屋は、松原市が「区分所有」として扱っている |
| 民法第234条 | 建物を築造するには境界線から50センチメートル以上の距離を保つ。違反には中止・変更の請求ができ、着手から1年経過後や完成後は損害賠償のみ | 長屋・連棟の特則は条文にない。切り離したあとの壁と境界の関係は、この記事では判断しない |
出典:e-Gov法令検索(建築基準法・同施行令・区分所有法・民法、2026年10月2日取得)、三重県建築基準法取扱集、松原市。民法第236条は、異なる慣習があるときはその慣習に従うと定めています。
確かめる順番は、次の4つです。
- 登記事項証明書で、自分の建物と土地の範囲を確かめる(棟全体か、1戸か)
- 前面の道が建築基準法の道路か、敷地が道路に2メートル以上接しているかを確かめる(再建築不可物件のページ)
- 名義が複数のときは、売却の進め方を決める(共有名義の不動産のページ)
- 仲介で動かないときは、買取専門業者の査定を取る(空き家買取業者の選び方)
切り離し・一部解体に関する自治体の案内
切り離しに隣家の同意が要るかを定めた条文や自治体の案内は、取得できませんでした。取得できたのは、切り離しや長屋の一部解体を補助の対象にしている自治体の案内です。補助の内容は年度で変わります。
| 自治体 | 案内の内容 | 条件の例 |
|---|---|---|
| 尼崎市 | 特殊空家に係る除却費補助金で、切離しを伴う長屋住宅は一戸につき上限70万円 | 借地上の長屋住宅の空き家などが対象。着工前に申請。共有者等がいれば全員の同意書 |
| 大阪市 | 狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度の一部エリアで、長屋等の一部解体の限度額は1棟100万円 | 地区ごとに前面道路の幅と建築年の条件がある(令和8年度版) |
| 松原市 | 長屋の除却補助を、単独所有と区分所有に分けて上限額を設定。区分所有は所有者の探索費用も対象 | 昭和56年5月31日以前の住宅など。長屋の補助は令和13年3月31日までの5年間 |
出典:各市の公式サイト(2026年10月2日取得)。金額・条件は年度ごとに変わるため、申請前に各市の窓口で確かめてください。
いずれも解体の補助で、売却そのものへの補助ではありません。物件のある市区町村に同じ制度があるとは限りません。解体補助の探し方は解体費用と補助金のページにあります。
再建築不可・借地の長屋は
接道義務を満たさない土地は再建築不可です。長屋を1棟のまま売るか、切り離して別々に売るかで、確かめる接道が変わります。再建築不可になる理由と売り方は再建築不可物件のページにまとめています。
借地の上に建つ長屋は、借地権の売却の扱いが関わります。借地権・底地のページを見てください。ラクウルは買い取れる物件に、再建築不可物件、借地権、長屋連棟式物件を並べて載せています。
相続した場合に確かめること
不動産登記法第76条の2は、相続で所有権を取得した人に、取得を知った日から3年以内の所有権移転登記の申請を求めています。手続きは相続登記のページにあります。
棟全体を相続したのか、1戸を相続したのかで、売る相手と進め方が変わります。きょうだいで共有になったときは共有名義の不動産のページを見てください。
売らずに手放す方法として相続土地国庫帰属制度がありますが、建物がある土地は申請できません(法第2条第3項第1号)。手放し方の比較は空き家の処分方法のページにあります。
仲介で動かない長屋・連棟住宅は、買取専門業者に現状のまま査定を依頼する方法があります。ラクウルは公式サイトで、買い取れる物件に「長屋連棟式物件」を挙げ、自社買取のため仲介手数料などの諸費用がかからないと説明しています。査定は無料で、一部対象外があるとされています。買取価格は市場価格より低くなるのが通常です。詳しくは訳アリ物件買取ラクウルの記事に書いています。
よくある質問
長屋と連棟住宅は同じものですか?
法令の条文では、建築基準法に「長屋」の語はありますが(第30条など)、「連棟」の語は建築基準法・民法・建物の区分所有等に関する法律・不動産登記法の条文にありません。長屋の定義も建築基準法第2条にはなく、自治体の取扱いで示されています。買取業者のラクウルは、買い取れる物件に「長屋連棟式物件」と一つの区分で載せています。この記事では、壁を共有して棟がつながった住宅をまとめて「長屋・連棟住宅」と書いています。
長屋と共同住宅の違いは何ですか?
堺市の取扱いでは、廊下や階段等を共用する部分があるものは共同住宅、共用部分が無いものは長屋住宅とされています。大阪市の取扱いも、長屋の条件に「廊下、階段等の共用部分を有しない」ことを挙げています。共用部分の有無の判断の細かい基準は自治体ごとに異なるため、物件のある市区町村の建築指導の窓口で確かめてください。
長屋の1戸だけを売ることはできますか?
取得した条文と自治体の案内には、1戸だけの売却の可否を定めたものは見つかりませんでした。松原市は長屋の除却補助で、1棟全てを同じ所有者が持つ「単独所有」と、各住戸を別々の所有者が持つ「区分所有」を分けて扱っています。相続したのが棟全体なのか1戸なのかは、登記事項証明書で確かめられます。
切り離すときに、隣の家の同意は必要ですか?
取得した条文と自治体の案内には、切り離しに隣家の同意が要るかを定めたものは見つかりませんでした。尼崎市の補助金は、共有者等がいる場合に全員の同意書を求めていますが、これは補助金の申請書類で、切り離し工事そのものの条件ではありません。民法第234条は境界線から50センチメートル以上の距離を定めますが、長屋・連棟についての特則は条文にありません。切り離しの可否と手順は、物件のある市区町村の建築指導の窓口と、工事を担当する建築士・解体業者に確かめてください。
再建築不可の長屋は売れますか?
再建築不可の土地は、建築基準法第43条第1項の接道義務(道路に2メートル以上接すること)を満たさない土地です。長屋は1棟のまま売る場合と、切り離して別々に売る場合で、接道の確認が変わります。再建築不可の売り方は、当サイトの再建築不可物件のページにまとめています。再建築不可物件を買い取れる物件に挙げている買取専門業者もあります。
借地の上にある長屋は、どう売りますか?
借地権付きの建物を売るときの扱いは、当サイトの借地権・底地のページにまとめています。尼崎市の特殊空家に係る除却費補助金は、借地上に存する長屋住宅の空き家を対象の一つにしていますが、判定項目などの条件があります。
参考・出典
- e-Gov法令検索 建築基準法(第30条・第43条)
- e-Gov法令検索 建築基準法施行令(第114条)
- e-Gov法令検索 建物の区分所有等に関する法律(第1条)
- e-Gov法令検索 民法(第234条・第236条)
- e-Gov法令検索 不動産登記法(第76条の2)
- 大阪市 大阪市建築基準法取扱い(令和8年4月)
- 三重県 建築基準法取扱集
- 尼崎市 特殊空家に係る除却費補助金
- 大阪市 狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度
- 松原市 空き家利活用及び住宅除却補助制度
- 訳アリ物件の買取専門「ラクウル」公式サイト
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の物件の売却方法や切り離しの可否を示すものではありません。建築基準法上の取扱いは物件のある市区町村の建築指導の窓口に、登記は法務局・司法書士に、税金は税務署や税理士にご確認ください。サービスの内容と条件は変更される場合があるため、最新の情報は公式サイトでご確認ください。