PR(本記事はアフィリエイト広告を含みます)
入居者がいる賃貸物件を売るには|立ち退きは必要か・正当事由と立ち退き料・オーナーチェンジ・相続したアパート
入居者がいる賃貸物件は、入居者を立ち退かせなくても売れます。借地借家法第31条は、建物の引渡しがあれば、その後に権利を取得した人にも賃貸借の効力が生じると定め、民法第605条の2第1項は、賃貸人の地位が買い主に移ると定めています。入居者に出てもらうには、借地借家法第28条の「正当の事由」が必要です。立ち退き料の金額は条文になく、このページでも示しません。
このページは、入居者がいる相続物件・賃貸物件を手放したい方向けです。賃料の税金・減価償却・譲渡所得は相続したアパート・収益物件のページに任せ、ここでは「売るのに立ち退きが要るのか」を条文の原文で確かめます。
売るために立ち退きは必要か
取得した条文(借地借家法・民法)には、賃貸物件を売るために入居者の退去が必要だという定めは見つかりませんでした。売り方は、入居者をどうするかで2つに分かれます。
| 売り方 | 関わる条文 | 確かめること |
|---|---|---|
| 入居者がいるまま売る(オーナーチェンジ) | 借地借家法第31条、民法第605条の2 | 賃貸借契約書、敷金の額、賃料の振込先 |
| 退去してもらって空室で売る | 借地借家法第26条〜第28条 | 契約の期間、定期建物賃貸借か、退去の条件 |
出典:e-Gov法令検索(借地借家法・民法、2026年10月2日取得)。
入居者がいると買い手が付きにくいのか、価格がどうなるのかは、条文から分からず、公的な資料も見つかりませんでした。このページでは相場を示しません。
退去を求めるときの条文|正当事由と立ち退き料
貸主から賃貸借を終わらせようとするときの条文は、次のとおりです。
| 条文 | 原文の内容 | 売却で関わる点 |
|---|---|---|
| 借地借家法第26条第1項 | 期間の定めがある場合、満了の1年前から6月前までに更新しない旨の通知をしないと、従前と同一の条件で更新したものとみなす(期間は定めがないものになる) | 退去を求めるなら、期間満了の時期から逆算した通知が要る |
| 借地借家法第27条第1項 | 貸主が解約の申入れをすると、申入れの日から6月を経過することで終了する | 期間の定めがない場合などの解約申入れ。6月がかかる |
| 借地借家法第28条 | 更新しない旨の通知と解約の申入れは、正当の事由があると認められる場合でなければできない | 貸主が「売りたい」だけでは足りるかは、条文から分からない |
出典:e-Gov法令検索 借地借家法(令和8年5月21日施行版、2026年10月2日取得)。
第28条は、正当の事由があるかを、次のものを考慮して判断すると定めています。
- 貸主と借主が建物の使用を必要とする事情
- 建物の賃貸借に関する従前の経過
- 建物の利用状況と建物の現況
- 貸主が、明渡しの条件として、または明渡しと引換えに、借主に財産上の給付をする旨の申出をした場合のその申出
最後の項目が、一般に立ち退き料と呼ばれるものに当たります。条文に「立ち退き料」の語はなく、金額や計算式も書かれていません。裁判所の判断の原文は取得できなかったため、金額の目安は示しません。
契約が定期建物賃貸借(第38条)の場合は、書面で更新がないことを定めた契約です。期間が1年以上のときは、期間満了の1年前から6月前までの間に終了の通知をしないと、終了を借主に主張できません。どちらの契約かは契約書で確かめられます。
入居者がいるまま売る|オーナーチェンジと敷金
入居者がいる状態のまま売ることを、不動産の世界ではオーナーチェンジと呼びます。原文で確かめられる点は次のとおりです。
| 条文 | 原文の内容 | 売るときに関わる点 |
|---|---|---|
| 借地借家法第31条 | 登記がなくても建物の引渡しがあれば、その後に建物の物権を取得した人に効力が生じる | 入居者が住んでいれば、買い主にも賃貸借が引き継がれる |
| 民法第605条の2第1項・第3項 | 賃貸人の地位は譲受人に移る。賃借人に対抗するには所有権移転登記が必要 | 買い主が貸主として振る舞うには登記が要る |
| 民法第605条の2第4項 | 費用償還債務と敷金の返還債務は譲受人が承継する | 預かっている敷金の返還義務は買い主へ移る |
| 民法第605条の2第2項 | 貸主の地位を売主に残す合意をし、買い主が売主に貸す形にすることもできる | 売主が貸主の地位を残す方法もある |
出典:e-Gov法令検索 借地借家法・民法(令和8年6月24日施行版、2026年10月2日取得)。
敷金を売主と買い主の間でどう精算するか、賃料の日割りをどうするかは、条文に書かれていません。売買契約書の内容として、仲介の不動産会社に確かめてください。
相続したアパートの場合
民法第896条は、相続人は相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継すると定めています(一身専属のものを除く)。賃貸借の貸主の立場も、この権利義務に含まれるのが通常です。
不動産登記法第76条の2は、相続で所有権を取得した人に、取得を知った日から3年以内の所有権移転登記の申請を求めています。入居者がいても、登記の期限は同じです。手続きは相続登記のページにあります。
相続人が複数で、名義を共有しているときは、共有名義の不動産のページを見てください。賃料の扱い、管理会社の変更、減価償却、譲渡所得の特例は相続したアパート・収益物件のページに書いています。
仲介で動かないときの選択肢
入居者がいる物件で仲介の買い手が見つからないときは、買取専門業者に査定を依頼する方法があります。ラクウルは公式サイトで、買い取れる物件の種類に「立ち退き物件」を挙げ、自社買取のため仲介手数料などの諸費用がかからないと説明しています。査定は無料で、一部対象外があるとされています。
入居者がいる自分の物件が「立ち退き物件」に当たるかは、公式サイトの説明からは分からないため、査定の申込みで確かめてください。買取価格は市場価格より低くなるのが通常です。ほかの業者も含めた選び方は空き家買取業者の選び方、ラクウルの対象物件の全体は訳アリ物件買取ラクウルの記事にあります。
長屋や連棟の賃貸物件は、長屋・連棟住宅を売るにはのページも見てください。
よくある質問
入居者がいると、物件は売れませんか?
取得した条文には、入居者がいる賃貸物件の売却を禁じる定めは見つかりませんでした。借地借家法第31条は、建物の引渡しがあれば、その後に建物の権利を取得した人に賃貸借の効力が生じると定め、民法第605条の2第1項は、賃貸人たる地位が譲受人に移転すると定めています。入居者がいる状態で買い手が見つかるか、いくらになるかは条文から分からず、このページでは相場を示しません。
売るために、入居者に立ち退いてもらう必要はありますか?
取得した条文には、売却のために入居者の退去を求める定めは見つかりませんでした。入居者がいるまま売る場合は、賃貸借がそのまま新しい所有者に引き継がれます。空室にして売りたい場合は、貸主から賃貸借を終わらせることになり、借地借家法第26条から第28条の定めに従います。契約が定期建物賃貸借(第38条)のときは、更新がないことを定めた契約ですので、契約書で確かめてください。
立ち退き料はいくらですか?
条文に立ち退き料の金額や計算式は書かれていません。借地借家法第28条は、貸主が「明渡しの条件として又は明渡しと引換えに財産上の給付をする旨の申出」をした場合に、その申出を正当事由の判断で考慮すると定めているだけです。裁判所の判断の原文を取得できなかったため、このページでは金額の目安を示しません。個別の事情は弁護士に相談してください。
売却を理由に、更新を拒絶できますか?
借地借家法第28条が正当事由の判断で考慮すると定めているのは、貸主と借主が建物の使用を必要とする事情、従前の経過、建物の利用状況と現況、財産上の給付の申出です。条文に「売却」の語はありません。売却を理由にした場合に正当事由が認められるかは、条文からも、取得できた資料からも分からず、断定できません。
入居者に預かっている敷金は、誰が返しますか?
入居者がいるまま売った場合、民法第605条の2第4項により、敷金の返還債務は新しい所有者が承継します。売主から買主へ敷金相当額をどう精算するかは、条文には書かれていません。売買契約の内容として、不動産会社と契約書で確かめてください。
相続したアパートの貸主は誰になりますか?
民法第896条は、相続人は相続開始の時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継すると定めています。賃貸借の貸主の立場も、この権利義務に含まれるのが通常です。相続人が複数で遺産分割が終わっていないときの扱いや、賃料・税金は、相続した収益物件のページにまとめています。
参考・出典
- e-Gov法令検索 借地借家法(第26条〜第28条・第31条・第38条)
- e-Gov法令検索 民法(第605条の2・第896条)
- e-Gov法令検索 不動産登記法(第76条の2)
- 訳アリ物件の買取専門「ラクウル」公式サイト
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の物件・契約について退去の可否や立ち退き料の額を示すものではありません。入居者との交渉や契約の解釈は弁護士に、登記は法務局・司法書士に、税金は税務署や税理士にご確認ください。サービスの内容と条件は変更される場合があるため、最新の情報は公式サイトでご確認ください。