不動産売却の仲介手数料|上限の計算式・消費税・800万円以下の空き家の特例・いつ払う・無料や割引は・買取なら
仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法46条にもとづく国土交通省の告示で決まっています。売買代金を3つに区切り、200万円以下の部分に5.5%、200万円を超え400万円以下の部分に4.4%、400万円を超える部分に3.3%(いずれも消費税等込み)を掛けて合計した額が、売主・買主それぞれにつき受け取れる上限です。上限であって定価ではなく、国土交通省の標準媒介契約約款は報酬の額を「限度額の範囲内で、甲乙協議の上、定めます」と書いています。売買代金が800万円以下の空き家には特例があり、33万円(税込)まで受け取れます。払う時期は、売買契約が成立し、契約書面が交付されたあとです。ご自身の売却額での上限額は、仲介手数料の計算機で出せます。
| 確かめること | 原文に書かれていること | 根拠 |
|---|---|---|
| 上限の率 | 売買代金のうち200万円以下の部分5.5%、200万円超400万円以下の部分4.4%、400万円超の部分3.3%を合計した額(依頼者の一方につき) | 告示第二 |
| 消費税 | 率は消費税等相当額を含む。掛ける売買代金は消費税等相当額を含まない額 | 告示第一・第二 |
| 800万円以下の空き家 | 通常の上限を超えて受け取れるが、依頼者から受ける額は30万円の1.1倍(33万円)まで。契約前に金額を説明し合意する | 告示第七、解釈・運用の考え方 |
| いつ払う | 契約が成立したとき請求でき、契約書面(37条書面)を交付した後でなければ受領できない。具体的な時期は契約書の欄 | 標準媒介契約約款 |
| 無料・割引 | 告示は上限を定めたもの。約款は額を「限度額の範囲内で甲乙協議の上、定める」 | 宅建業法46条、約款 |
| 買取 | 告示が上限を定めるのは媒介・代理の報酬。自社買取は買主が不動産会社自身 | 告示第二〜第十 |
出典は国土交通省の告示・解釈運用・標準媒介契約約款の原文と、e-Gov法令検索の現行版(2026年10月3日取得)。
仲介手数料の上限と計算方法
宅地建物取引業法46条は、不動産会社が売買・交換・貸借の媒介や代理で受け取れる報酬の額を「国土交通大臣の定めるところによる」とし(1項)、その額を超えて報酬を受けてはならない(2項)と定めています。上限は国土交通省の告示で決まり、会社には事務所ごとに報酬額を掲示する義務があります(4項)。
売買の媒介の上限(告示第二)
依頼者の一方につき、売買代金を次の3つに区切り、それぞれに率を掛けて合計した額が上限です。
- 200万円以下の部分:5.5%
- 200万円を超え400万円以下の部分:4.4%
- 400万円を超える部分:3.3%
売却額が400万円を超えるときは3つの区分を合計することになります。価格ごとの上限額は仲介手数料の計算機に任せ、このページでは仕組みと、払う時期・割引・買取の話に絞ります。
この金額は上限額
告示が定めているのは「受けることのできる報酬の額」の上限です。標準媒介契約約款は、報酬の額を「国土交通省告示に定める限度額の範囲内で、甲乙協議の上、定めます」と書いています(専任・専属専任は第8条2項、一般は第10条2項)。実際にいくらになるかは、媒介契約書の「約定報酬額」の欄に書かれた額で決まります。
賃貸と売買で上限が異なる
賃貸の媒介は、貸主・借主の双方から受ける額の合計が借賃1か月分の1.1倍(消費税等込み)までです。居住用の建物では、依頼を受けるときに承諾を得ていなければ、依頼者の一方から受けられるのは借賃1か月分の0.55倍までです(告示第四)。
消費税はどう扱われるか
告示の5.5%・4.4%・3.3%は、消費税等相当額を含めた率です(告示第二。課税事業者である不動産会社の場合)。税抜でいえば5%・4%・3%に当たり、「売却価格×3%+6万円+消費税」という言い方は、この3区分を400万円超の場合にまとめた形です。6万円は、200万円以下の部分の率が3%より2ポイント高い分(4万円)と、200万円超400万円以下の部分が1ポイント高い分(2万円)の合計です。
掛ける売買代金は消費税等を含まない額
告示第二は、率を掛ける売買代金について「消費税等相当額を含まないもの」と書いています。売買契約書に建物の消費税が含まれている場合は、それを除いた代金で上限を計算します。
消費税の免税事業者の場合
消費税の納税義務が免除されている不動産会社は、課税事業者の上限に100/110を掛けた額に、仕入れに係る消費税等相当額を加えた額までです(告示第十一②)。解釈・運用の考え方は、加算できる仕入れ分を税抜金額の0.04倍までとしています。
見積りで確かめる場所
媒介契約書の「約定報酬額」は、「消費税及び地方消費税抜き報酬額」と「消費税額及び地方消費税額の合計額」を分けて書く欄になっています。合計が告示の上限の範囲内かどうかは、この2つの額で確かめられます。
800万円以下の物件の特例(低廉な空家等)
安価な空き家には特例があり、不動産会社は通常の計算式より多く手数料を受け取れる場合があります。
低廉な空家等の特例(2024年7月1日施行)
告示(昭和45年建設省告示第1552号)の第七は、売買代金が800万円以下の宅地・建物を「低廉な空家等」と定め、この物件の売買・交換の媒介では、通常の計算式を超えて報酬を受け取れると定めています。上限は依頼者1人につき30万円の1.1倍=33万円(消費税込み)です。解釈・運用の考え方は、800万円以下かどうかで決まり、建物の使用の状態は問わないとしています。
通常の計算式でも、売買代金800万円の上限は33万円(800万円×3.3%+6.6万円)になります。特例が働くのは、代金が800万円より低く、通常の計算式の上限が33万円に届かないときです。
改正前の特例は「400万円以下・18万円の1.1倍(19.8万円)まで」で、売主から受ける報酬に限られていました。令和6年6月21日の改正(国土交通省告示第949号、2024年7月1日施行)で、対象が800万円以下に広がり、上限も33万円に引き上げられています。条文は「依頼者から受ける報酬」と書き、売主からの分だけに限る書き方ではなくなりました。
なぜこの特例が設けられたか
国土交通省は2024年6月21日に「不動産業による空き家対策推進プログラム」を策定し、その一環として媒介報酬の見直しを行いました。概要資料は、空き家等の流通促進が急ぎの課題である一方、不動産会社が空き家等を扱うには事業上の課題があるため、報酬の上限を見直した、と書いています。
33万円は上限であって定価ではない
国土交通省は同じ改正で、媒介契約を結ぶ際にあらかじめ上限の範囲内で報酬額を依頼者に説明し、合意する必要があることを解釈・運用の考え方(通達)に明記しています。解釈・運用の考え方は、特例で受け取れる額を「媒介に要する費用を勘案して」決めるものとしています。契約前に金額の説明がないまま、あとから33万円を請求される仕組みではありません。いくらになるのかは、媒介契約を結ぶ前に確認してください。
賃貸に出す場合の特例
同じ改正で、長く使われていない空き家を賃貸に出す場合の特例(告示の第九)も設けられました。「長期の空家等」の貸借の媒介では、借主から受け取る報酬が借賃1か月分の1.1倍(居住用の建物では、借主の承諾がない限り0.55倍)以内であることを条件に、貸主から上乗せして受け取ることができ、双方から受け取る合計額の上限は借賃1か月分の2.2倍になります。
ご自身の物件が売買代金800万円以下の「低廉な空家等」に当たるかで、手数料の上限は変わります。まず売却の見込み額が800万円以下かどうかを確認しておきましょう。
両手仲介と片手仲介の違い
1社が売主と買主のどちらの媒介をするかで、受け取る手数料の合計が変わります。
両手仲介とは
1社の不動産会社が売主と買主の両方から仲介手数料を受け取る形態を「両手仲介」といいます。解釈・運用の考え方は、依頼者の双方から報酬を受ける場合も、依頼者のそれぞれ一方から受ける額が限度額以下でなければならないとしています。売主から上限まで、買主から上限まで、それぞれ受け取れます。
片手仲介とは
売主側の仲介会社と買主側の仲介会社が別々で、それぞれ自分の依頼者から手数料を受け取る形態を「片手仲介」といいます。複数の会社が1件の売買の媒介をしたときは、それらの会社が依頼者の一方から受け取る額の合計が、上限以内でなければなりません(解釈・運用の考え方、複数の宅地建物取引業者が介在する媒介)。
両手仲介の利益相反と囲い込み
両手仲介では、1社が「できるだけ高く売りたい売主」と「できるだけ安く買いたい買主」の両方の依頼を受けることになります。両手仲介を狙って他社からの買い手の紹介に応じない行為は「囲い込み」と呼ばれ、問題視されています。
専任媒介契約と専属専任媒介契約を結んだ会社には、宅建業法34条の2で、物件を指定流通機構(レインズ)に登録して登録証明書を依頼者に引き渡すことと、業務の処理状況を2週間に1回以上(専属専任の特約があるときは1週間に1回以上)報告することが義務づけられています。契約の種類ごとの違いと解除は媒介契約の解除にまとめています。
仲介手数料はいつ払うか
国土交通省の標準媒介契約約款は、払う時期を次のように定めています(専任・専属専任は第8・9条、一般は第10・11条)。
- 請求できる時期:不動産会社の媒介によって売買契約が成立したとき。売買契約が停止条件付きで成立したときは、その条件が成就した場合に限ります。
- 受け取れる時期:宅建業法37条の書面(契約の内容を記した書面)を作成して、成立した契約の当事者に交付した後でなければ、約定報酬を受け取れません。
- 融資が成立しなかったとき:売買契約が融資の不成立を解除条件にしていて、融資の不成立が確定した場合(または融資が不成立のときは買主が解除できる契約で、それを理由に解除した場合)は、受け取った約定報酬の全額を遅滞なく返還します。
契約書の様式には「約定報酬の受領の時期」を書く欄があります。売買契約の締結時に払うのか、引渡し時に払うのかは約款自体には書かれておらず、媒介契約を結ぶときにこの欄で確かめることになります。標準約款に基づかない媒介契約では、定めが異なる場合があります。
仲介手数料は無料や割引にできるか
告示が定めているのは、受け取れる額の上限です(告示第二は「次の表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる割合を乗じて得た金額を合計した金額以内」と書いています)。宅建業法46条2項が禁じているのは、その額を超えて受け取ることです。標準媒介契約約款は、額を限度額の範囲内で甲乙協議の上、定めるとしています。上限より低い額や無料で媒介を引き受けることは、告示の上限に反しません。
「無料」「半額」をうたう場合に見る場所
- 媒介契約書の「約定報酬額」:媒介契約書に報酬に関する事項を書くことは、宅建業法34条の2第1項7号で定められています。無料や割引が契約書の金額に反映されているかを、契約を結ぶ前に確認します。
- 売主と買主のどちらの分か:上限は依頼者の一方ごとに決まっています。売主の分が安くなるのか、買主の分なのかを分けて聞きます。
- 報酬以外の請求:告示第十一は、定めた報酬のほかは、依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額を除いて受け取れないとしています。解釈・運用の考え方は、案内料や申込料は受領できないとし、依頼者の特別の依頼による遠隔地の現地調査などの実費は、事前の承諾があれば別に受け取れるとしています。手数料以外に何がいくら請求されるのかも、契約書で確認します。
値引きの交渉と売却の手取り
報酬の額は協議で決まるので、媒介契約を結ぶ前に複数の会社へ約定報酬額を聞いて比べることができます。手数料の額と、売れる価格や売れるまでの期間は別の話で、どちらが手取りを増やすかは物件ごとに違います。値引きに応じやすい物件の条件や、値引きと販売活動の熱心さの関係は、原典に書かれていないため、このページでは言い切りません。
買取なら仲介手数料はかかるか
告示が上限を定めているのは、不動産会社が売買の媒介・代理で受け取る報酬です(第二〜第十)。不動産会社が物件を自分で買い取る「買取」は、会社自身が買主になる売買で、売主のために買主を探す媒介ではありません。
空き家の買取を専門にする会社の公式サイトは、「自社買取であるため仲介手数料などの諸費用がかからず」と書いています。査定は無料と書かれ、流れは、問い合わせ、現地調査・査定、買取査定額に納得したら売買契約、決済と引き渡し、の4段階です。買取の可否と金額は物件ごとの査定で決まります。
仲介手数料がかからないことと、手元に残る額が多いことは別の話です。買取の査定額と、仲介で売れた場合の価格から手数料・諸費用を引いた額を並べて比べてください。仲介側の手取りは売却収益の試算で出せます。囲い込みや両手仲介が気になる場合も、買取の査定額は比べる材料になります。
手数料以外にかかる費用
不動産売却には仲介手数料以外にもさまざまな費用がかかります。
印紙税
売買契約書に貼る収入印紙の代金です。不動産の譲渡に関する契約書は、令和9年3月31日までに作成されるものについて軽減措置があり、たとえば契約金額が1,000万円を超え5,000万円以下なら1万円です(国税庁タックスアンサー No.7108)。
登記費用(抵当権抹消など)
住宅ローンが残っている場合は抵当権抹消登記が必要です。司法書士に依頼するときの報酬は依頼先ごとに異なるため、見積りで確認します。
測量費用
隣地との境界が不明確な場合、確定測量が必要になることがあります。費用は土地の条件で大きく変わるため、必要かどうかも含めて見積りを取ります。
譲渡所得税・住民税
売却益(譲渡所得)が出た場合は、所得税・住民税がかかります。相続した物件の場合は取得費の計算方法が特殊なため、注意が必要です。3,000万円特別控除や相続取得費加算の特例が使える場合もあります。
不動産査定の複数社比較の重要性
不動産売却を成功させるための最初のステップが、複数の不動産会社への査定依頼です。
査定価格はなぜ各社で異なるか
査定価格は各社の独自基準・相場の見方・販売戦略によって異なります。1社だけに依頼すると「適正価格かどうか」の判断ができません。
複数社比較のメリット
- 相場の適正価格帯が把握できる
- 各社の販売戦略・売却実績を比較できる
- 媒介契約の条件(専任・一般)や約定報酬額を会社ごとに比べられる
- 業者の対応・コミュニケーション力を比較できる
査定を頼むだけで仲介手数料はかからない
標準媒介契約約款では、報酬を請求できるのは媒介によって売買契約が成立したときです。査定を頼んだだけで、仲介手数料を請求される仕組みではありません。一括査定サービスを使えば複数社にまとめて依頼できます。ただし、営業電話が増えることもあるため、物件情報の提供範囲を確認した上で利用することをおすすめします。
参考・出典
- 国土交通省 - 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(昭和45年建設省告示第1552号/最終改正 令和6年6月21日国土交通省告示第949号)
- 国土交通省 - 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(令和8年4月1日施行版)第46条第1項関係
- 国土交通省 - 宅地建物取引業法施行規則の規定による標準媒介契約約款
- e-Gov法令検索 - 宅地建物取引業法(第34条の2・第46条)
- 国土交通省 - 不動産業による空き家対策推進プログラム(媒介報酬規制の見直し)
- 国土交通省 - 空き家対策
- 国税庁 - No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置
- 国税庁 - No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期
- 空き家買取会社の公式サイト(買取の仕組み・流れ・よくある質問)