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媒介契約の解除|途中で解約できるか・違約金や費用の請求・書面の書き方・専任と一般の違い・解除後に別の会社や買取へ

媒介契約を途中で解除できるかは、契約書と約款の解除の条項で決まります。国土交通省の標準媒介契約約款は、専任・専属専任・一般のどれにも、解除の条項を3つ置いています。当事者が義務を果たさず、期間を定めた催告にも応じないとき。不動産会社が誠実に業務を遂行する義務に違反したときなど、依頼者が解除できる3つの場合。反社会的勢力に関する確約に反したとき。約款には、依頼者の都合でいつでも解除できるという条項は書かれていません。違約金も、他社に依頼して契約を成立させたときなど、約款が挙げた場面の条項で、依頼者が解除したこと自体を理由にする条項は見当たりません。

確かめること原文に書かれていること根拠
契約書に載ること媒介契約を結んだ不動産会社は、遅滞なく、「媒介契約の有効期間及び解除に関する事項」などを記載した書面に記名押印して、依頼者に交付する宅建業法34条の2第1項
専任・専属専任の期間有効期間は3月を超えられない。更新は依頼者の申出により、更新の時から3月を超えられない宅建業法34条の2第3項・第4項
依頼者が解除できる場合相手が義務を履行せず、定めた期間内に催告にも応じないとき。不動産会社が誠実に遂行する義務に違反したとき、重要な事項について故意か重過失で事実を告げず不実のことを告げたとき、宅建業に関して不正または著しく不当な行為をしたとき標準媒介契約約款(専任なら第16条・第17条)
違約金専任・専属専任で、有効期間内に他社へ媒介・代理を依頼して契約を成立させたとき、約定報酬額に相当する金額(消費税額を除く)。専属専任は、自分で見つけた相手方と契約したときも標準媒介契約約款(専任・専属専任とも第12条)
費用の請求自分で見つけた相手方と契約したとき(専任)、不動産会社の責めに帰すことができない事由で解除されたときなどに、履行のために要した費用の償還を請求できる。額は約定報酬額を超えない標準媒介契約約款(専任第14条、専属専任第13条、一般第14条)
解除の通知の方法解除の条項に、様式や方法の定めは書かれていない標準媒介契約約款
民法651条委任は各当事者がいつでも解除できる。相手方に不利な時期に解除したときなどは、やむを得ない事由があったときを除き、相手方の損害を賠償する。媒介契約への当てはめは、約款には書かれていない民法651条

出典は国土交通省の標準媒介契約約款(最終改正 令和4年国土交通省告示第583号)と e-Gov法令検索(2026年10月2日取得)。契約書が標準約款に基づかない場合は、契約書そのものの条項が基準になります。

媒介契約を途中で解除できるか:約款が書く解除の条項

解除を考える理由は、「半年たっても売れない」「担当者の対応に納得できない」など人によって違います。どれに当たるかで、約款の使える条項が変わります。

まず、契約書に「標準媒介契約約款に基づく契約」と書かれているか

国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」は、契約書の右上すみに「この媒介契約は、国土交通省が定めた標準媒介契約約款に基づく契約です。」(または「基づく契約ではありません。」)と表示することとしています。「基づく契約です」とあれば、次の条項が契約の内容です。「基づく契約ではありません」とあれば、解除の条項は契約書そのものを読みます。

標準媒介契約約款が書く3つの解除

条項(専任・専属専任・一般)解除できる場面(原文の要旨)解除できる人
契約の解除(第16条・第15条・第17条)甲または乙が義務の履行について本旨に従った履行をしない場合に、相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないとき甲(依頼者)・乙(不動産会社)の双方
甲による解除(第17条・第16条・第18条)乙が、①業務を信義を旨とし誠実に遂行する義務に違反したとき ②重要な事項について故意か重過失で事実を告げず、または不実のことを告げたとき ③宅地建物取引業に関して不正または著しく不当な行為をしたとき甲(依頼者)
反社会的勢力の排除(第18条・第17条・第19条)反社会的勢力でないこと等の確約に反する申告・契約・行為が判明した場合は、催告なしで解除できる甲・乙の双方

条項の番号は、左から専任・専属専任・一般の順です。出典:国土交通省 標準媒介契約約款(最終改正 令和4年国土交通省告示第583号)。

国土交通省の「考え方」は、2つ目の解除について「媒介契約が当事者間の信頼関係によって成立するものであることにかんがみ、宅地建物取引業者に背信行為があった場合は、依頼者による解除が認められている」と説明しています。3つのうち依頼者だけに認められているのは、この2つ目です。

約款に「いつでも解除できる」とは書かれていない

約款の解除の条項は上の3つだけで、依頼者が自分の都合だけで解除できるとは書かれていません。一方、民法651条は、委任について「各当事者がいつでもその解除をすることができる」と定め、相手方に不利な時期の解除などは、やむを得ない事由があったときを除いて損害賠償の対象としています。民法656条は、法律行為でない事務の委託にも委任の規定を準用すると定めています。

ただし、この民法の条文が媒介契約にそのまま当てはまるかは、約款にも国土交通省の「考え方」にも書かれていません。このページでは結論を出しません。期間の途中で、上の3つに当てはまらない理由で解除したいときは、解除を伝える前に、契約書の条項を示して不動産会社に確認するか、弁護士などの専門家に相談します。

期間満了による終了

専任・専属専任の有効期間は、宅建業法34条の2第3項で3月が上限です。更新は依頼者の申出が必要で(同条第4項)、国土交通省の「考え方」は、あらかじめ更新することを約定しておくことは許されないとしています。標準約款は、更新の申出を「文書等」で、有効期間の満了に際して行うとしています。申出をしなければ、期間が満了して契約は終わります。

解除したら違約金や費用を請求されるか

標準約款の違約金と費用の請求は、解除したことそのものではなく、約款が挙げた場面に結びついています。依頼者が解除しただけで違約金を請求できるとする条項は、標準約款には見当たりません。

場面条項請求できるもの
専任:有効期間内に、他社へ媒介・代理を依頼して契約を成立させた専任 第12条違約金:約定報酬額に相当する金額(消費税額・地方消費税額を除く)
専属専任:他社に依頼して契約を成立させた、または自分で見つけた相手方と契約した専属専任 第12条違約金:同上
専任:自分で見つけた相手方と契約した専任 第14条費用の償還(履行のために要した費用)
一般:明示していない他社に依頼して契約を成立させた一般 第14条費用の償還
不動産会社の責めに帰すことができない事由で解除された専任 第14条・専属専任 第13条費用の償還
反社会的勢力に関する確約違反で、不動産会社が解除した専任 第18条・専属専任 第17条・一般 第19条違約金:約定報酬額に相当する金額(すでに受領した報酬の一部を除く)

出典:国土交通省 標準媒介契約約款。金額は契約書の「約定報酬額」の欄で決まるため、ここには書きません。

請求を受けたとき、約款と国土交通省の「考え方」が書いていること

解除の書面:約款に様式の定めはあるか

約款の解除の条項(専任の第16条・第17条、専属専任の第15条・第16条、一般の第17条・第18条)に、解除を伝える書面の様式や、通知の方法の定めは書かれていません。書くことは決まっていません。これに対し、更新の申出だけは、約款が「文書等」で行うと書いています。

契約書の「解除に関する事項」は、宅建業法34条の2第1項第5号により、不動産会社が記載する項目です。契約書に独自の手順が書かれていれば、その手順に従います。決まりが無いときは、あとから読み返せる形で、どの契約をいつ、どの条項を理由に解除するのかを伝えておくと、行き違いを減らせます。これは約款の定めではなく、一般的な伝え方です。

解除したあと、別の会社や買取へ進むときの注意

別の会社に頼む前に、確かめること

買取に切り替える場合

仲介で売れずに解除を考えている家が、旧耐震・築古、再建築不可、借地権、共有持ち分などの条件の物件なら、買取専門の窓口が合う場合があります。訳アリ物件買取のラクウルは、公式サイトで、事故物件・再建築不可物件・共有持ち分物件・違反建築物件・旧耐震・築古物件・借地権・底地などを買い取れる物件として挙げています。買取は自社買取のため仲介手数料などの諸費用がかからないと書かれ、契約は買取査定金額に納得したら進む流れです。条件に問題がなく普通に売れる家なら、まず別の不動産会社の査定を取るほうが話が合います。

注意点が1つあります。専任・専属専任の有効期間中に買取業者へ売ることが、約款の違約金の条項(他社への媒介・代理の依頼、専属専任なら自分で見つけた相手方との契約)に当たるかは、約款には書かれていません。期間中に買取を考えるときは、契約書の文言を持って、いまの不動産会社に先に確認してください。

媒介契約とは何か

媒介契約は、不動産の売却(または購入・交換)を不動産会社に依頼するときに結ぶ契約です。宅地建物取引業法34条の2第1項は、不動産会社が媒介契約を結んだとき、遅滞なく、次の事項などを記載した書面を作成し、記名押印して依頼者に交付しなければならないと定めています。

書面に記載される主な事項(宅建業法34条の2第1項)

国土交通省の「考え方」は、通常の取引では標準媒介契約約款を使うのが適当で、専属専任・専任・一般の3類型の選択は依頼者に委ねられているとしています。依頼者が契約に違反したときは、違約金または費用の償還を請求されることもあるので、契約書をよく読み理解しておくべきとされています。

一般媒介契約

一般媒介契約は、複数の不動産会社に重ねて依頼できる形態です。

一般媒介契約の特徴(標準媒介契約約款)

専任媒介契約

専任媒介契約は、1社のみに依頼する形態ですが、自分で見つけた相手方との契約は認められています。

専任媒介契約の特徴(宅建業法34条の2・標準媒介契約約款)

専任媒介でも、自分で見つけた相手方と契約できる

専任媒介では、自分で見つけた相手方と契約しても違約金の条項には当たりません。ただし、不動産会社は、履行のために要した費用の償還を請求できます(第14条)。額は約定報酬額が上限です。

専属専任媒介契約と3種類の違い

専属専任媒介契約は、1社のみへの依頼で、自分で見つけた相手方との契約もできない形態です。

専属専任媒介契約の特徴(宅建業法34条の2・標準媒介契約約款)

3種類の違い

種類他社への依頼・自分で見つけた相手方との契約レインズ登録・報告
一般他社に重ねて依頼できる。自分で見つけた相手方と契約できる登録は契約で決める。定期報告の定めは法にない
専任他社に重ねて依頼できない。自分で見つけた相手方と契約できる翌日から7日以内に登録。2週間に1回以上報告
専属専任他社に重ねて依頼できない。自分で見つけた相手方と契約できない翌日から5日以内に登録。1週間に1回以上報告

出典:宅地建物取引業法34条の2、標準媒介契約約款(契約書の備考)。

「囲い込み」問題

他社からの購入希望者に物件を紹介しない状態は、「囲い込み」と呼ばれることがあります。標準約款も国土交通省の「考え方」も、「囲い込み」という言葉は使っていません。依頼者が確かめられる事実は、次のレインズの登録状況です。

国土交通省の「考え方」は、不動産会社が専属専任・専任の媒介契約に基づいてレインズに登録した物件について、取引の申込みの受付に関する状況等の登録内容が事実と異なるときは、宅建業法65条1項の指示処分の対象になるとしています。また、約款は、不動産会社が誠実に業務を遂行する義務に違反したときは、依頼者が解除できると定めています(専任 第17条)。個々の事案がこれに当たるかは、事実関係で変わります。

レインズ登録の確認方法

レインズ(指定流通機構が運営する、不動産会社間の物件情報の交換システム)への登録は、専任・専属専任では法律上の義務です(宅建業法34条の2第5項)。

売主が登録を確認する方法

参考・出典

売却価格の目安を試算してみましょう

相続した不動産を売却した場合と賃貸に出した場合の収益を比較できます。媒介契約を選ぶ前に収益シミュレーションを確認しましょう。

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