相続した空き家の管理を管理会社に委託する費用|公表料金と業者の選び方
空き家の管理を委託する費用は、公式サイトで料金が確認できた範囲では、月1回の見回りで月7,700円(ALSOK、税込)、シルバー人材センターの例では見回り1回3,200円です。換気・通水、草刈りまで頼むと別の料金か上位プランになります。遠方に住んでいる・高齢で現地に行けない・仕事が忙しくて管理できないときの選択肢として、本記事では公表されている料金、相続人が複数いるときの費用の分け方、業者の選び方、委託契約の注意点を整理します。
費用相場の性質
空き家管理の料金には、国などが公表する統計がありません。この記事では各社・各団体が公式サイトに表示している料金だけを載せ、相場は作りません。表示が確認できなかった会社の料金は、見積りでご確認ください。
公表されている料金と、相続した家の費用の分け方
今回、公式サイトの表示から料金を確認できたのは次の2つです。ほかの会社の料金は取得できなかったため載せていません。
| 依頼先・プラン | 公表されている内容と料金 | 出典 |
|---|---|---|
| ALSOK「るすたくサービス」(基本) | 月1回の屋外の見回り(指定箇所10か所まで、異常の有無をEメールで報告)と、郵便受けの投函物の整頓。月額7,700円(税込)、初期費用0円。月1回を12か月続けると92,400円(当サイトの計算) | ALSOK公式サイト |
| ALSOK「るすたくセキュリティパック」 | 基本に、ホームセキュリティ(侵入・火災検知)と警備員の駆けつけを加えたプラン。月額11,000円(税込)、初期費用0円。年132,000円(同)。駆けつけは別途有償で、出動料金は1回3,300円(税込)と表示 | ALSOK公式サイト |
| ALSOK「るすたくセキュリティパック+換気サービス」 | さらに、窓開放換気・蛇口の通水(最大10か所)と、建物外観・内観の目視確認を加えたプラン。月額18,700円(税込)、初期費用0円。年224,400円(同) | ALSOK公式サイト |
| 赤穂市シルバー人材センター(空家管理業務) | 敷地の外側から家屋・庭を目視で確認し、写真付きの報告書を送る基本サービスは1回3,200円。希望により、植木剪定1人1時間1,698円から、草抜き1,116円から、草刈機による草刈1,755円から、庭の清掃1,132円から(税込)。別途事務手数料12%が加算され、作業により材料費・処分費・機械使用料がかかる。月1回なら年38,400円(当サイトの計算、オプションと手数料を除く) | 赤穂市の案内(更新日2026年4月1日) |
出典:ALSOK「HOME ALSOK るすたくサービス」、赤穂市「赤穂市シルバー人材センターの空家管理業務について」(2026年10月6日取得)。税込・税別は出典の表記のまま。
表から分かることは3つです。
- 料金は「何を頼むか」で変わります。ALSOKの基本は屋外の見回りと郵便物の整頓までで、室内の換気・通水は上位のプランです。シルバー人材センターの基本は敷地の外側からの目視です。室内まで頼むかどうかが、料金の分かれ目になります。
- ALSOKは1年契約です。ALSOKのよくある質問には、契約期間は1年で、その後は1年単位で自動更新と書かれています。売却や解体が決まったときに途中で解約できるかは、契約前に確認してください(後の「委託契約時の注意点」も参照)。
- シルバー人材センターは地域ごとに別の団体です。赤穂市の金額がほかの地域にそのまま当てはまるわけではありません。空き家のある市区町村の窓口で、空家管理を受けている団体があるかを尋ねてみてください。
相続人が複数いるとき、管理の費用は誰が出すか
相続人が数人いるとき、遺産分割が終わるまで、相続財産は相続人全員の共有です(民法898条1項)。共有物の管理の費用は、各共有者が持分に応じて支払うと定められています(民法253条1項)。管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決めます(民法252条1項)。空き家の管理を委託するかどうかは、この「管理に関する事項」にあたるとみられます。
1人が黙って契約して費用を立て替えると、あとで分け方が問題になりえます。委託するか、誰が契約者になるか、費用をどう分けるかを、相続人の間で先に決めておくとよいでしょう。遺産分割で1人が取得したあとは、その人が所有者です。名義は相続登記で変更します(相続で取得したと知った日から3年以内の申請が義務です)。
貸す場合の管理は、見回りとは別の契約です
空き家を貸して収益にする場合は、入居者の募集、家賃の集金、退去時の対応といった賃貸の管理が必要になります。これはここで扱った見回りサービスとは別の契約で、料金も各社の見積りで確認することになります。リフォームして貸す場合の収支は空き家をリフォームして賃貸に出す費用対効果にあります。
空き家管理サービスとはどんなサービスか
空き家管理サービスとは、所有者に代わって定期的に空き家を巡回・点検し、建物の状態を維持管理するサービスです。総務省の住宅・土地統計調査(2023年)によると、国内の空き家数は約900万戸に達し、空き家率は13.8%と過去最高を更新しました。管理が行き届かない空き家は「特定空家等」に指定されるリスクがあり、専門業者への委託が有効な対策となっています。
不動産会社・管理会社・専門の空き家管理業者などが提供しています。上の表のように、警備会社やシルバー人材センターが受けている例もあります。
主なサービス内容
基本的なパッケージには以下の内容が含まれるのが一般的です。
- 月次巡回・点検:外観・室内・設備の状態確認、異常の報告
- 通水作業:水道管の劣化・悪臭防止のために定期的に水を流す
- 換気:室内のカビ・湿気対策として窓や換気口を開閉
- 郵便物・チラシの回収:不法侵入を誘発する郵便物の堆積を防ぐ
- 草刈り・除草(オプションまたは別料金の場合が多い)
- 点検レポートの送付:写真付きで定期報告
オプションで追加できるサービス
基本管理に加え、以下のようなオプションを提供している業者もあります。
- 害虫・害獣対策(シロアリ調査・ネズミ駆除など)
- 簡易修繕(電球交換・雨漏り応急処置など)
- 不用品・遺品の整理・処分
- 売却・賃貸に向けた提案・仲介
- 近隣住民への挨拶代行
管理サービスの目的
空き家管理は単なる見回りではなく、建物の価値を維持し「特定空家等」への指定リスクを下げる実務的な役割があります。問題の早期発見にもつながります。
費用相場と料金体系
空き家管理サービスの費用は、業者・地域・サービス内容によって異なります。金額は上の表のとおりで、ここでは料金体系の見方を整理します。
基本料金に何が含まれるか
- 見回りの回数:上の2例は月1回(ALSOKの基本)または1回ごとの料金(シルバー人材センター)です。回数を増やすと料金も変わるかは、見積りで確認します。
- 室内に入るか:換気・通水は室内に入る作業です。ALSOKでは上位のプランに含まれます。
- 初期費用:ALSOKのるすたくは0円と表示されています。初期費用の有無は会社によって異なるため、見積りで確認します。
草刈り・除草の追加費用
庭の草刈りや樹木の剪定は、基本料金に含まれないことが多く、別に費用がかかります。赤穂市シルバー人材センターは、草抜きや草刈機による草刈を1人1時間あたりの料金(上の表)で表示しています。草刈りの頼み先と公表料金は空き家の草刈りでも整理しています。
契約形態
ALSOKは1年契約で、その後1年単位の自動更新です。シルバー人材センターのように1回ごとの料金で受ける団体もあります。月払い・年払い・都度払いのどれか、最低契約期間があるかは、契約前に確認してください。
安すぎる業者には注意
ほかの業者と比べて極端に低い価格を提示する業者は、頼める範囲が狭い可能性があります。訪問頻度・室内に入るか・写真レポートの有無・対応スピードを必ず確認しましょう。
委託を検討すべきタイミング
空き家管理の委託が特に有効な状況を整理します。
遠方に住んでいる場合
相続した実家が地方にあり、自分は都市部に住んでいるケースです。往復の交通費と時間を、上の表の委託料と比べて考えます。飛行機や新幹線を使わないと行けない距離であれば、委託を検討する価値があります。
高齢・身体的に管理が困難な場合
所有者自身が高齢または体調の問題で定期的な管理が難しくなった場合。管理できない状態が続くと建物の劣化が進みやすいと言われ、早めに委託を検討することが建物の価値維持につながるとされます。
空き家の処分方針が決まるまでの間
売却・賃貸・解体などの方針を決めるまでに時間がかかる場合、その間だけ管理を委託するという利用方法もあります。建物の状態を維持しておくと、売却時の条件が有利になると言われます。
近隣からのクレームが来た場合
「草が伸びている」「臭いがする」などの苦情が来た段階では、すでに管理不全の状態です。市区町村からの指導を受ける前に対処することが重要です。
ご自身の状況がこの4つのどれに近いかを整理すると、委託の必要性が見えてきます。
委託を続けた場合の累計と、手放した場合
管理の委託は、空き家を持っている間ずっとかかる費用です。上の表の月額を12か月×10年で単純に計算すると、累計は次のようになります。
| ALSOK「るすたく」のプラン | 年額 | 10年続けた累計 |
|---|---|---|
| 基本(月額7,700円) | 92,400円 | 924,000円 |
| セキュリティパック(月額11,000円) | 132,000円 | 1,320,000円 |
| セキュリティパック+換気サービス(月額18,700円) | 224,400円 | 2,244,000円 |
表の月額(税込)から当サイトで計算した金額です。料金の改定、駆けつけの出動料金などのオプション、固定資産税は含みません。
売却や解体を決めれば、この委託料はかからなくなります。いまの家がいくらで売れるかは、場所や建物の状態で変わるため、買取の査定を取らないと分かりません。ALSOKの契約は1年単位の自動更新なので、手放すかどうかを決めるなら、更新の前に査定額を聞いておくと比べられます。
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地元不動産会社 vs 専門業者の違い
空き家管理を提供する業者には大きく2種類があります。
地元の不動産会社
地域密着型の不動産会社が管理サービスを提供しているケースです。売却・賃貸のついでに管理も依頼できるため、将来の出口戦略を見据えた相談がしやすいメリットがあります。一方、管理専門スタッフが少なく、訪問頻度や報告の質にばらつきがある場合もあります。
空き家管理専門業者
空き家管理に特化した業者で、全国展開しているチェーンもあります。管理のノウハウが豊富で、点検レポートのデジタル化・写真報告・緊急時の迅速対応などが整っていることが多いです。ただし、売却・賃貸の仲介機能がない場合は、別途不動産会社への相談が必要になります。
どちらを選ぶか
将来的に売却・賃貸を考えているなら、仲介機能を持つ地元不動産会社に一括依頼するのがスムーズです。管理の質・報告体制を重視するなら専門業者の比較検討をおすすめします。
サービス内容の比較ポイント
複数の業者を比較する際に確認すべき項目を整理します。
確認すべきチェックリスト
- 訪問頻度:月1回か2回か、訪問日は指定できるか
- 報告方法:写真付きレポートをメール・アプリで受け取れるか
- 緊急時の対応:雨漏りや不審者侵入などの緊急連絡体制はあるか
- 草刈り・剪定:基本料金に含まれるか、追加費用はいくらか
- スタッフの常駐エリア:物件の近くに担当者がいるか
- 解約条件:最低契約期間はあるか、途中解約時のペナルティはあるか
- 損害賠償の有無:管理中の事故・盗難に対する補償はあるか
複数見積もりが基本
空き家管理サービスは会社ごとに料金とサービス内容が違うため、最低でも2〜3社から見積もりを取り、サービス内容と料金を比較してから契約することをおすすめします。
委託契約時の注意点
契約前・契約時に確認しておくべき重要事項を解説します。
鍵の管理・セキュリティ
空き家の鍵を業者に預けることになるため、鍵の管理方法と紛失・盗難時の責任について事前に確認します。鍵の複製を作るかどうか、保管方法についても書面で取り決めておくことが大切です。
作業内容・範囲の明確化
契約書に「月1回の外観チェック・通水・換気・郵便物回収・写真報告」など、実施内容を具体的に記載してもらいましょう。曖昧な契約では「やるつもりだった・やらなくていいと思った」という認識のずれが生じやすくなります。
損害賠償条項の確認
管理中の建物に何らかの損害が生じた場合(例:作業中の破損、鍵の紛失による不法侵入)に業者がどのような責任を負うかを確認します。業者側に損害賠償を限定する条項がある場合は注意が必要です。
解約・更新の条件
売却・賃貸が決まった際にすぐに解約できるかどうか確認しておきます。最低契約期間が設定されている場合、途中解約で違約金が発生することがあります。
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空き家バンクと管理委託の組み合わせ
空き家を活用・売却したいが、すぐに買い手・借り手が見つからない場合、空き家バンクへの登録と並行して管理委託を行う方法があります。
空き家バンクとは
市区町村が運営する空き家・空き土地の情報提供制度です。売却・賃貸・無償譲渡などの形で活用希望者とのマッチングを行います。登録は無料で、移住・定住促進を目的とした自治体補助制度と連携しているケースもあります。
組み合わせのメリット
空き家バンクに登録して買い手・借り手を探しながら、見つかるまでの間は管理委託で建物の状態を維持するという二段構えの戦略が有効です。建物が適切に管理されていると、内覧時の印象が良くなり、成約につながりやすいと言われます。
地域の制度を調べる
自治体によっては、空き家バンクへの登録を条件に管理費の一部を補助する制度や、リフォーム費用の補助制度が用意されている場合があります。物件所在地の市区町村の窓口またはウェブサイトで確認することをおすすめします。
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