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ハザードマップの重要事項説明とは|売買・賃貸で説明される内容・時期・受けたあとに確かめること
ハザードマップの重要事項説明とは、契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士が、買う・借りる土地や建物の位置を、市町村の水害ハザードマップ(洪水・内水・高潮)のどこにあたるかで示して説明することです。売買・交換にも賃貸にも定められていて、物件が土砂災害警戒区域や津波災害警戒区域の中にあるときは、その旨も説明されます。説明されるのは図面上の所在地です。国土交通省の解釈・運用の考え方は、ハザードマップの内容の説明までは業者に義務付けず、浸水想定区域に該当しないことで水害リスクがないと誤認しないよう配慮することが望ましい、としています。この規定は2020年8月28日に施行されました。
| 説明される項目 | 説明の内容 | 対象の取引 |
|---|---|---|
| 水害ハザードマップ上の所在地(第三号の二) | 市町村長が提供する図面に物件の位置が表示されているとき、その図面での所在地。解釈では、洪水・内水・高潮の図面をそれぞれ示して、物件のおおよその位置を示す | 宅地・建物の売買・交換、貸借 |
| 土砂災害警戒区域(第二号) | 物件が土砂災害警戒区域内にあるとき、その旨 | 宅地・建物の売買・交換、貸借 |
| 津波災害警戒区域(第三号) | 物件が津波災害警戒区域内にあるとき、その旨 | 宅地・建物の売買・交換、貸借 |
宅地建物取引業法施行規則第16条の4の3(e-Gov法令検索のAPI、2026年10月13日取得)と、国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(令和8年4月1日施行版、同日取得)から作成。
家を買う人:説明で受け取るもの
宅地建物取引業法第35条第1項は、宅地建物取引業者に、売買・交換・貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、事項を記載した書面を交付して説明をさせるよう定めています。ハザードマップ上の所在地は、この説明の事項の1つです。買う人は、契約の前に受け取る重要事項説明書で、この欄を読むことになります。
国土交通省の解釈・運用の考え方は、説明の仕方を次のように示しています。洪水・内水・高潮のそれぞれについて、取引の対象の位置を含むハザードマップを示し、物件のおおよその位置を示す方法です。使う図面は、物件のある市町村が配布する印刷物か、市町村のホームページ等に載っているものを印刷したもので、ホームページ等で確認して入手できる最新のものとされています。
買う人が説明の場で見るのは、次の3点です。
- 洪水・内水・高潮の3種類の図面が示されたか:1種類だけでは、ほかの原因の想定は分かりません。
- 物件の位置が、図面のどの色にあたるか:色の意味は図面の凡例に書かれています。浸水深の色の区分の読み方は火災保険の水災補償のページにまとめました。
- 図面の作成時期と、想定している雨の規模:解釈が求めるのは最新の図面ですが、版の新しさは自分でも確かめます。
買う家に火災保険を掛けるなら、水災補償を付けるかどうかは、この所在地の想定を踏まえて決めることになります。
借りる人・売る人(貸す人)の場合
借りる人
規則第16条の4の3は、宅地の貸借と建物の貸借でも、水害ハザードマップ上の所在地、土砂災害警戒区域、津波災害警戒区域の3項目を説明の事項としています。賃貸の重要事項説明でも、契約の前に、市町村の図面での物件の所在地を聞けます。入居のときに求められる保険は契約によって違うため、保険の扱いは契約書類で確かめます。
売る人・貸す人
説明の義務を負うのは宅地建物取引業者です。売却や賃貸を任せる不動産会社が、買う人・借りる人にこの説明をします。自分の家の所在地が、洪水・内水・高潮のそれぞれの図面でどう表示されるかを、売り出す前に市町村のホームページで見ておくと、買う人や借りる人に聞かれたときに話が早く進みます。
所在地が浸水想定区域だったとき
説明されるのは、物件が図面のどこにあるかです。色が付いていれば、その図面が想定する雨や高潮のとき、その色の深さの浸水が想定されている、という意味になります。国土交通省は、洪水浸水想定区域を、想定し得る最大規模の降雨により河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域として指定し、水深とあわせて公表している、と案内しています。
確かめる点を3つ挙げます。
- 色が付いていない種類の図面でも、ほかの種類を見る。洪水・内水・高潮の図面は別のものです。1つの図面で色が付いていなくても、残りの2つで色が付くことがあります。
- 色の濃さと、物件の階数・高さを見比べる。浸水深の区分は図面の凡例で確かめます。
- 図面の版が新しいかを、市町村のホームページで見る。ハザードマップに書かれている内容は、今後変更される場合があります。
火災保険の水災補償は、保険の商品によって付いているかも、保険金が出る条件も違います。保険の中身を確かめる順番は火災保険の水災補償のページにまとめています。
土砂災害警戒区域・津波災害警戒区域だったとき
規則第16条の4の3の第二号と第三号は、物件が土砂災害警戒区域内、津波災害警戒区域内にあるときは、その旨を説明するよう定めています。国土交通省の解釈・運用の考え方は、これらを、物件が区域内にあるか否かを消費者に確認させるものと位置づけています。ハザードマップ上の所在地とは別の項目で、水害ハザードマップの図面(洪水・内水・高潮)には含まれません。
土砂災害警戒区域は、通称でイエローゾーンと呼ばれることがあります。特に危険な特別警戒区域(レッドゾーン)の取引上の制限は、このページでは扱いません。
津波は、火災保険の水災補償とは別に考えます。インズウェブの火災保険の入力画面には、「津波による水災」に関しては地震保険を付けることによって補償される、という案内があります。地震保険の保険料は都道府県別の地震保険料と加入率にまとめています。
説明を受けたあとに確かめること
説明は図面上の所在地を確認させるものです。そこから先は、自分で確かめることになります。順に並べます。
- 書面のハザードマップの欄に、3種類の図面と、物件の位置の印があるかを見る。無い種類があれば、不動産会社に理由を聞きます。市町村が作っていない場合は、その旨の説明を受けます。
- 重ねるハザードマップで、住所を入れて見る。国土交通省のハザードマップポータルサイトの「重ねるハザードマップ」は、洪水・土砂災害・高潮・津波のリスク情報を重ねて見られます。「わがまちハザードマップ」は、市町村が法令に基づき作成・公開したハザードマップへのリンクです。
- 避難所の位置を見る。解釈は、図面に載っている避難所の位置を併せて示すことが望ましい、としています。市区町村ごとの指定緊急避難場所・指定避難所の数は市区町村別のハザードマップと避難場所のページにあります。
- 火災保険の水災補償の有無と支払い条件を、見積もりで確かめる。水災補償は、建物の所在地(市区町村)によって保険料が異なります。条件の読み方は火災保険の水災補償のページにあります。
- 相続した家なら、保険の名義変更や空き家向けの保険を確かめる。空き家の火災保険のページに書きました。
よくある質問
賃貸でも、ハザードマップの説明は受けられますか?
宅地建物取引業法施行規則第16条の4の3は、宅地の売買・交換、建物の売買・交換、宅地の貸借、建物の貸借のいずれについても、水害ハザードマップ上の所在地(第三号の二)を説明する事項に含めています。賃貸の重要事項説明でも、市町村の図面での所在地が説明の対象です。
ハザードマップの説明は、いつ受けますか?
宅地建物取引業法第35条第1項は、宅地建物取引業者に、売買・交換・貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、事項を記載した書面を交付して説明をさせるよう定めています。契約の前に受ける説明なので、書面のハザードマップの欄は、契約を結ぶ前に読めます。
浸水想定区域に入っていないと説明されたら、水害の心配はありませんか?
国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」は、水害ハザードマップに記載された浸水想定区域に該当しないことをもって、水害リスクがないと相手方が誤認することのないよう配慮することが望ましい、としています。あわせて、ハザードマップに記載されている内容は今後変更される場合があることを補足することが望ましい、とも書いています。説明されるのは図面上の所在地で、浸水しないことを示すものではありません。
市町村がハザードマップを作っていない場合は、どうなりますか?
国土交通省の解釈・運用の考え方によると、宅地建物取引業者が市町村に照会して、その市町村が取引の対象の位置を含む水害ハザードマップの全部または一部を作成していない、または印刷物の配布やホームページ等への掲載をしていないことが確認された場合は、その照会をもって調査義務を果たしたことになります。この場合は、提示すべき水害ハザードマップが存しない旨の説明を行う必要があります。
土砂災害警戒区域や津波災害警戒区域の中にあると、どう説明されますか?
規則第16条の4の3の第二号と第三号は、物件が土砂災害警戒区域内、津波災害警戒区域内にあるときは、その旨を説明するよう定めています。国土交通省の解釈・運用の考え方は、これらを、物件が区域内にあるか否かを消費者に確認させるものと位置づけています。
液状化の危険度も、重要事項説明で説明されますか?
規則第16条の4の3の条文には、液状化の項目はありません。液状化の危険度を知りたいときは、市区町村が公表している資料を、市区町村のサイトで確かめます。契約前なら、不動産会社にも、手元の資料に液状化に関するものがあるか聞くことができます。
参考・出典
- e-Gov法令検索 宅地建物取引業法施行規則(昭和32年建設省令第12号)第16条の4の3
- e-Gov法令検索 宅地建物取引業法(第35条)
- 国土交通省 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(令和8年4月1日施行版)
- 国土交通省 洪水浸水想定区域図・洪水ハザードマップ
- 国土交通省 ハザードマップポータルサイト
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の取引の説明内容や、保険の加入・補償の選択を勧めるものではありません。個別の判断は、宅地建物取引業者、保険会社・代理店、市区町村の担当課にご確認ください。