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袋地(公道に接しない土地)は売れる?囲繞地通行権で通れる範囲と償金・建物が建てられるか・相続税評価(無道路地)・隣地への売却と買取
他の土地に囲まれて公道に通じない土地(袋地)の持ち主には、囲んでいる土地を通って公道に出る権利が、民法210条で認められています。ただし、通れることと、そこに家を建てられることは別の法律の話です。通行権の範囲と償金、建築基準法の接道、相続税評価、売り方を、民法・建築基準法・国税庁の原文で整理します。
| 知りたいこと | 原文の答え | 確かめる先 |
|---|---|---|
| 他人の土地を通って公道に出てよいか | 通れる。通行の場所と方法は、他の土地の損害が最も少ないものを選ぶ。償金を払う(民法210〜212条) | 通る土地の所有者・司法書士 |
| 通行権があれば家を建てられるか | 別の話。敷地が道路に2m以上接することが原則(建築基準法43条1項) | 市町村の建築指導の窓口 |
| 相続税の評価はどうなるか | 無道路地は、評価額から100分の40の範囲内で相当と認める金額を控除する(通達20-3) | 税務署・税理士 |
民法210〜212条、建築基準法43条(e-Gov法令検索)と、国税庁の財産評価基本通達20-3。
自分はどの場合に当てはまるか
- 他の土地に囲まれて、公道に出る道が無い:このページを節2から読んでください。
- 細い通路で道路につながっている(旗竿地):旗竿地の売却のページにあります。
- 道路に接しているが、2mに足りない・42条の道路でない:再建築不可の土地のページにあります。
- 前の私道に持分がない:私道に持分がない家のページにあります。
- 敷地に里道・赤道・水路がかかっている:里道・水路の払い下げのページにあります。
- 長屋・連棟住宅の一部:長屋の売却のページにあります。
- 訳アリの土地の買取業者を比べたい:訳アリ物件の買取のページにあります。
袋地・無道路地・接道義務は、何が違うのか
似た言葉ですが、出てくる法律が別です。民法には「袋地」という語は出てきません。210条が、他の土地に囲まれて公道に通じない土地の持ち主の権利を定めていて、この土地を一般に袋地と呼びます。
| 言葉 | 原文の定め | 出てくる法律 |
|---|---|---|
| 公道に通じない土地 | 他の土地に囲まれて公道に通じない土地。池沼・河川・水路・海を通らなければ公道に至れない土地や、崖があって公道と著しい高低差のある土地も同じ | 民法210条 |
| 接道義務 | 建築物の敷地は、道路に2m以上接しなければならない | 建築基準法43条1項 |
| 無道路地 | 道路に接しない宅地(接道義務を満たしていない宅地を含む) | 財産評価基本通達20-3の注 |
民法210条・建築基準法43条(e-Gov法令検索)と、国税庁の財産評価基本通達20-3。
- 民法の見方:公道に出る方法があるかどうかです。囲んでいる土地を通る権利が、持ち主に認められます。
- 建築基準法の見方:敷地が道路に2m以上接しているかどうかです。通れるだけでは足りません。
- 税の見方:通達の無道路地は、道路に接しない宅地で、接道義務を満たしていない宅地を含みます。道路に接していても接道義務を満たさない土地は、袋地ではなくても、通達では無道路地に入ります。
細い通路で道路に出ている旗竿地は、道路に接しているため、袋地とは分かれます。接道の2mの測り方や売り方は、旗竿地の売却のページにあります。
囲んでいる土地を通れる範囲と、償金はどうなるのか
民法210条から213条は、袋地の持ち主が囲んでいる土地を通る権利と、その条件を定めています。
| 論点 | 民法の原文 | 注意点 |
|---|---|---|
| 通る権利 | 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行できる(210条) | 通れる土地は、囲んでいる土地のうちから選ぶ |
| 場所と方法 | 通行権者に必要で、かつ他の土地のために損害が最も少ないものを選ぶ。必要があるときは通路を開設できる(211条) | 幅は原文に書かれていない。必要な範囲による |
| 償金 | 通行する他の土地の損害に対して償金を支払う。通路の開設で生じた損害を除いて、一年ごとに支払える(212条) | 額は原文に書かれていない |
| 分割・一部譲渡が原因のとき | 他の分割者の所有地だけを通行できる。償金は要らない。一部を譲り渡した場合にも同じ(213条) | 土地を分けたり、一部を譲ったりして袋地ができた場合 |
民法210〜213条(e-Gov法令検索、施行日2026年6月24日の版)。
袋地を売る人が、先に確かめておくとよいことは、次の3つです。
- どこを通っているか:今、実際に通っている道が、囲んでいる土地のどれなのかを、地図や現地で確かめます。通る土地の所有者が分かれば、通行についての取り決めの有無も聞けます。
- 償金を払っているか:212条は償金を払うことを定めています。払ってきたのか、請求されたことがあるのかを、書類や親族への聞き取りで確かめます。
- 袋地になった理由:分割や一部の譲渡で袋地になったのなら、213条により、通れるのは分けた相手の土地だけで、償金は要りません。登記簿の分筆の履歴が手掛かりになります。
通行権が買主に引き継がれるか、登記が要るかは、取得した原典に書かれていませんでした。買主になる不動産会社と司法書士に、売る前に聞いてください。
通行権があれば、建物は建てられるのか
通行権があっても、建物が建てられるとは限りません。建築基準法43条1項は、建築物の敷地は、道路に2m以上接しなければならないと定めています。民法の通行権は、通る権利です。建築基準法の道路に接しているという意味とは別です。
| 項目 | 建築基準法43条の原文 | 袋地での注意点 |
|---|---|---|
| 原則(1項) | 建築物の敷地は、道路に2m以上接しなければならない | 道路に接していない袋地は、原則に当たらない |
| 認定(2項1号) | 敷地が幅員4m以上の道に2m以上接する建築物のうち、利用者が少数のもので、特定行政庁が交通上・安全上・防火上・衛生上支障がないと認めるもの | 通行権のある通路が「道」に当たるかは、特定行政庁が判断する |
| 許可(2項2号) | 敷地の周囲に広い空地を有する建築物などで、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可したもの | 建築物ごとの審査。許可が出るかは物件で変わる |
建築基準法43条1項・2項(e-Gov法令検索、施行日2026年5月27日の版)。条文は要約。
- 原則:道路に接しない袋地は、そのままでは建て替えられない土地になります。
- 例外:2項の認定や許可が出れば、建てられる場合があります。どちらに当たるかは、建築の計画ごとに、特定行政庁が判断します。
- 確かめ方:市町村の建築指導の窓口に、土地の場所と、建てたい建物を示して聞きます。許可を得られるかを、売る前に確かめておくと、買主に説明しやすくなります。
接道が足りない土地の全体像や、買主が付きにくい理由は、再建築不可の土地のページにあります。
相続税の評価は、どうなるのか
袋地を相続したときの土地の評価は、国税庁の財産評価基本通達20-3(無道路地の評価)が定めています。
- 評価のしかた:実際に利用している路線の路線価に基づいて、不整形地などの定めで計算した価額から、その価額の100分の40の範囲内で相当と認める金額を控除します。
- 控除額の考え方:接道義務に基づいて最小限度の通路を開設する場合の、その通路に相当する部分の価額(路線価に地積を乗じた価額)です。上限が100分の40です。
- 無道路地とは:道路に接しない宅地で、接道義務を満たしていない宅地を含みます。
実際の評価額は、土地の形、面積、利用している路線の路線価で変わるため、このページでは計算しません。民法の通行権がある袋地を、通達の無道路地として評価するかは、取得した原典に書かれていませんでした。申告は、税務署か税理士に確かめてください。旗竿地を含む不整形地の評価の表は、旗竿地の売却のページにあります。
袋地は、どう売るか
袋地は、地元の不動産会社に仲介を断られることがあります。売り方は、大きく2つです。
- 囲んでいる土地の所有者に買ってもらう:囲んでいる土地の所有者が買えば、袋地は買主の土地とつながります。買うかどうかと価格は相手次第です。通る側と通られる側が同じ人になるため、通行権をめぐる取り決めの問題は小さくなります。
- 訳アリ物件を専門に買い取る会社に相談する:今の状態のまま、通行の取り決めや建築の許可が整っていなくても、相談できる場合があります。
ラクウルの公式サイトにある記載は、次の範囲です。
- 買い取れる物件:一覧に「再建築不可物件」があります。
- 建て替えができない土地:よくある質問に、「建て替えが出来ない土地でも処分できますか?」「はい、問題ありません。弊社ノウハウを生かし、建築基準法や都市計画法の観点なども考慮しつつ査定させていただきます」とあります。
- 断られた物件:「他社に断られた物件でも大丈夫ですか?」にも、「はい、問題ありません」と書かれています。
- 注意点:公式サイトに袋地の語は出てきません。袋地が買取の対象になるか、いくらになるかは、物件ごとに、所在地や形、通行の状況を伝えて査定を受けて確かめることになります。
よくある質問
袋地を買ってもらうとき、通行権は買主に引き継がれますか?
民法210条〜213条の原文には、通行権が買主に引き継がれるかは書かれていません。通行する側の権利が登記されているか、通る土地の所有者との間で通行の取り決めがあるかは、売る前に確かめる必要があります。買主になる不動産会社と、登記を扱う司法書士に聞いてください。
通行権があるので、償金は払わなくてよいですか?
民法212条は、210条の通行権を持つ人は、通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならないと定めています。通路を開設したことで生じた損害を除いて、一年ごとに支払うこともできます。例外は213条で、分割や一部の譲渡によって公道に通じなくなったときは、償金は要りません。額は原文に書かれておらず、土地ごとに決まります。
通行権があれば、家を建て替えられますか?
民法の通行権と、建築基準法の接道は、別の法律の定めです。建築基準法43条1項は、建築物の敷地は道路に2m以上接しなければならないとしています。例外として、同条2項に特定行政庁の認定や許可を受ける道があります。自分の土地で使えるかは、市町村の建築指導の窓口(特定行政庁)に、建築の計画を示して聞くことになります。
袋地の相続税評価は、いくら下がりますか?
国税庁の財産評価基本通達20-3は、無道路地の価額を、不整形地などの定めで計算した価額から、その価額の100分の40の範囲内で相当と認める金額を控除して評価するとしています。控除する額は、接道義務に基づいて最小限度の通路を開設する場合の、その通路に当たる部分の価額が目安です。実際の額は土地の形・路線価・面積で変わるため、ここでは計算しません。通行権がある袋地を無道路地として評価するかは、取得した原典に書かれていませんでした。税務署か税理士に確かめてください。
隣の土地の所有者に買ってもらえますか?
袋地を囲んでいる土地の所有者が買えば、袋地は買主の土地とつながります。通る側と通られる側が同じ人になるため、通行権をめぐる取り決めの問題が小さくなります。買うかどうかと価格は相手次第で、原典に価格の決まり方は書かれていません。まず売る意思があることを伝えて、相手の考えを聞くところからになります。
袋地は、ラクウルで買い取ってもらえますか?
ラクウルの公式サイトには、買い取れる物件の一つに再建築不可物件が載っています。よくある質問にも「建て替えが出来ない土地でも処分できますか?」「はい、問題ありません」とあります。ただし公式サイトに袋地の語は出てきません。袋地が対象になるか、いくらになるかは、物件の所在地や形などを伝えた査定で決まります。
参考・出典
- e-Gov法令検索 民法(第210条〜第213条)
- e-Gov法令検索 建築基準法(第43条)
- 国税庁 財産評価基本通達 20-3(無道路地の評価)
- ラクウル(訳アリ不動産買取専門店)公式サイト
- ラクウル よくある質問
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の土地について、通行権の範囲や償金、建築の可否、相続税の評価額、売却や買取の可否を保証するものではありません。実際の判断は、弁護士・司法書士・税理士・特定行政庁などの専門家や窓口に確認してください。