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セットバックが必要な土地を売るには?後退する距離・セットバック部分は誰のものか・固定資産税の非課税申告・相続税評価・売り方
セットバックとは、幅4m未満の道に面した土地で建物を建てるとき、道路の境界線とみなされる線まで敷地を後退させることです。後退した部分は、寄附などをしない限り所有者のままで、固定資産税は市区町村への申告で非課税になる場合があり、相続税の評価にも専用の定めがあります。売る前に確かめることを、建築基準法・地方税法・国税庁の原文と、市の案内で整理します。
| 知りたいこと | 原文の答え | 確かめる先 |
|---|---|---|
| どれだけ後退するのか | 道の中心線から水平距離2mの線が境界線とみなされる。崖地・川・線路敷地に沿う場合は別の定め(建築基準法42条2項) | 市区町村の建築指導の窓口 |
| 後退した部分は誰のものか | 所有権は制限されず、使用権だけが制限される(国土交通省の運用指針) | 市区町村・司法書士 |
| 固定資産税は | 「公共の用に供する道路」は課税できない。市への申告が要る場合がある(地方税法348条2項5号) | 市区町村の固定資産税の担当 |
| 相続税の評価は | 提供する部分の地積÷総地積×0.7の割合を控除する(通達24-6) | 税務署・税理士 |
建築基準法42条、地方税法348条(e-Gov法令検索)と、国土交通省の運用指針、国税庁の財産評価基本通達24-6。
自分はどの場合に当てはまるか
- 前の道が幅4m未満で、建て替えるときに後退が要る:このページを節2から読んでください。
- 前の私道に持分がない・位置指定道路との違いを知りたい:私道に持分がない家のページにあります。
- 道路に2m以上接していない・42条の道路でない:再建築不可の土地のページにあります。
- 細い通路で道路につながっている:旗竿地の売却のページにあります。
- 他の土地に囲まれて公道に出られない:袋地の売却のページにあります。
- 訳アリの土地の買取業者を比べたい:訳アリ物件の買取のページにあります。
セットバックとは何か。どれだけ後退するのか
建築基準法42条2項は、建築物が立ち並んでいる幅4m未満の道で、特定行政庁(市区町村や都道府県の建築指導の担当)が指定したものを、道路とみなすと定めています。この道を一般に2項道路と呼びます。道路の境界線とみなされる線まで敷地を後退させることが、セットバックです。後退の距離は、道の周りの状況で変わります。
| 場合 | 原文の定め | 条文 |
|---|---|---|
| 原則 | 道の中心線から水平距離2mの線が、道路の境界線とみなされる。指定区域内は3m。支障がないと特定行政庁が認めれば2m | 42条2項 |
| 道の片側が崖地・川・線路敷地などに沿う | 中心線から2m未満で沿う場合は、崖地等の道の側の境界線と、そこから道の側に水平距離4mの線が境界線とみなされる | 42条2項ただし書 |
| 土地の状況でやむを得ない | 特定行政庁が、中心線から2m未満1.35m以上、崖地等から4m未満2.7m以上の範囲で別に距離を指定できる | 42条3項 |
建築基準法42条2項・3項(e-Gov法令検索、施行日2026年5月27日の版)。条文は要約。
- 道の反対側が崖・川の場合:2項ただし書の対象になります。中心線から2mではなく、崖地等の道の側の境界線から数えた4mの線が、道路の境界線とみなされます。
- 自分の道がどれに当たるか:2項道路かどうか、指定区域か、3項の別の距離が指定されているかは、道ごとに違います。土地のある市区町村の建築指導の窓口で確かめます。
- 後退するのは建て替えのとき:豊田市の案内は、建築物を新築または増改築する際に、道路の中心から2m後退させて建てることをセットバックと説明しています。
後退した部分は、建築基準法施行令2条1項1号により、敷地面積に算入されません。道路とみなされる線と道との間の部分の敷地は、建築で使う敷地面積から外れます。
位置指定道路と2項道路の違いは、私道に持分がない家のページにあります。
セットバックをしないで済む方法はあるのか
取得した条文では、後退を完全に免れる定めは見当たりませんでした。距離が変わる場合と、後退が求められない場合を分けて見ます。
- 建て替えや増築をしない:豊田市の案内は、建築物を新築または増改築する際に後退が要ると説明しています。新築や増改築を予定しないなら、この案内でいう後退が要る場面には当たりません。ただし、買主が建て替えるときは、買主に後退が要ります。
- 距離が短くなる場合:特定行政庁が土地の状況でやむを得ないと認めれば、42条3項で中心線から1.35m以上2m未満などの範囲で別の距離が指定されます。指定が出るかは特定行政庁が決めます。
- 後退線の内側には建てられない:建築基準法44条1項は、建築物と敷地を造成する擁壁を、道路内に建築・築造してはならないと定めています。国土交通省の運用指針は、2項道路に接する敷地での建築では、門や塀にもセットバック義務が生じ、みなし境界線内に残っていれば44条に適合しないとしています。
建物を建てられない土地になる場合は、再建築不可の土地のページにあります。
セットバックした部分は、誰のものか
国土交通省の運用指針は、42条2項の指定について、所有権の制限はないが使用権の制限のみが生ずるものと説明しています。後退した部分は、そのままでは土地の所有者のものです。道路として使うため、建物や門・塀などは置けません。
| 扱い | 市の案内・運用指針 | 注意点 |
|---|---|---|
| 所有者のまま持つ | 2項道路の指定は所有権の制限ではなく使用権の制限(国土交通省) | 固定資産税の扱いは節5 |
| 市に寄附する | さいたま市は、後退部分を測量・分筆・登記して寄附申込書を提出し、所有権の移転は市が登記する | 抵当権等が設定されていると寄附を受けられない(さいたま市) |
| 寄附か無償貸与で協力する | 国立市は、市道に接する土地で、セットバック部分を寄附または無償貸与する場合に、測量・移転等の工事費の一部を助成する制度を設けている。西宮市は、整備して分筆寄付する場合の工事・測量費の助成がある | 制度の有無と助成の中身は市ごとに違う |
国土交通省「建築基準法道路関係規定運用指針の解説」と、さいたま市・国立市・西宮市の公式ページ(2026年10月3日に確認)。
抵当権が付いている土地の寄附は、さいたま市が受け付けないと案内しています。ローンが残る土地で、後退部分だけを寄附できるかは、取得した原典に書かれていませんでした。寄附するかどうかは、売る前に市と、買主になる不動産会社に聞きます。
固定資産税は、非課税になるのか
地方税法348条2項5号は、固定資産税を「公共の用に供する道路」に対しては課することができないと定めています。後退した部分がこれに当たるかを、市区町村が現地の状況で確かめます。3つの市の案内を並べると、次のとおりです。
| 市 | 非課税の要件 | 申告 |
|---|---|---|
| 豊田市 | 1月1日時点で「公共の用に供する道路」。建築物の敷地・植木や自転車や自動車を置く・擁壁やフェンス・関係者以外の通行を禁じる表記があれば非課税にならない | 分筆登記済みは申告不要で現地調査。未分筆は申告書と地積測量図等が必要 |
| 高砂市 | 利用上の制約がなく不特定多数の人の用に供されている。建築物がセットバック位置まで後退している | 年内に申告すると、翌年4月に始まる年度から非課税 |
| 国立市 | 「公共の用に供する道路」と確認できれば、翌年度から非課税。鉢植えなどの障害物があれば対象外 | 原則12月末までに申告書と測量図面。分筆し現況が公衆用道路なら申告不要 |
地方税法348条2項5号(e-Gov法令検索)と、豊田市・高砂市・国立市の公式ページ(2026年10月3日に確認)。
- 共通すること:3市とも、道路として誰でも通れる状態が前提です。後退した部分に植木や車を置いていると、非課税になりません。
- 違うこと:申告の要否、期限、必要な図面は市ごとに違います。土地のある市区町村の固定資産税の担当に聞きます。
- 売るとき:非課税の申告をしておくと買主に説明しやすくなります。売却や相続で所有者が変わったときに申告が引き継がれるかは、3市の案内に書かれていませんでした。
相続税の評価は、どうなるのか
セットバックが必要な宅地を相続したときの評価は、国税庁の財産評価基本通達が定めています。
| 状態 | 評価の定め | 通達 |
|---|---|---|
| 将来、建替え時等に道路敷きとして提供しなければならない部分がある宅地 | 提供する必要がないとした場合の価額から、その価額に「提供する部分の地積÷宅地の総地積×0.7」の割合を乗じた金額を控除する | 24-6 |
| 私道の用に供されている宅地 | 通常の評価額の100分の30。不特定多数の者の通行の用に供されているときは評価しない | 24 |
国税庁 財産評価基本通達24-6・24。
- 24-6が対象にする宅地:2項道路に面し、将来の建替え時等に法の規定に基づいて道路敷きとして提供しなければならない部分を有する宅地です。
- すでに後退して道路として使っている部分:24の私道に当たるかは、取得した原典に書かれていませんでした。申告は、税務署か税理士に確かめてください。
実際の評価額は、土地の価額と、提供する部分の地積で変わるため、このページでは計算しません。
売るときに何を確かめ、どう売るか
宅建業法35条1項2号は、宅地建物取引業者に、契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、建築基準法その他の法令に基づく制限で政令で定めるものの概要を、書面を交付して説明させるよう求めています。政令の宅建業法施行令3条1項2号には、売買について、建築基準法の43条や44条1項などが挙がっています。セットバックの語は条文に出てきません。説明にどこまで含まれるかは、買主側の不動産会社と確かめます。
売る前に、次の5つを確かめておくと、買主に説明しやすくなります。
- 前の道が2項道路か:特定行政庁(建築指導の窓口)に聞きます。
- 後退の距離と範囲:中心線から何mか、3項の別の指定があるかを聞きます。
- 後退済みかどうか:建物、門、塀がみなし境界線の内側に残っていないかを現地で見ます。
- 後退部分の登記:分筆されているかを、登記簿で確かめます。
- 固定資産税の申告:非課税の申告が済んでいるかを、納税通知書の明細で確かめます。
売り方は、大きく2つです。
- 地元の不動産会社に仲介してもらう:後退の要否を伝えたうえで、買主を探します。
- 訳アリ物件を専門に買い取る会社に相談する:今の状態のまま、後退の測量や寄附を済ませていなくても、相談できる場合があります。
ラクウルの公式サイトにある記載は、次の範囲です。
- 断られた物件:「他社に断られた物件でも大丈夫ですか?」に、「はい、問題ありません」と書かれています。
- 建築基準法などの観点:「建て替えが出来ない土地でも処分できますか?」に、「はい、問題ありません。弊社ノウハウを生かし、建築基準法や都市計画法の観点なども考慮しつつ査定させていただきます」とあります。
- 注意点:公式サイトにセットバックの語は出てきません。この土地が買取の対象になるか、いくらになるかは、物件ごとに、所在地や道の状況を伝えて査定を受けて確かめることになります。
よくある質問
セットバックが必要な土地は、そのままでも売れますか?
取得した建築基準法・宅建業法の原文に、セットバックが必要な土地を売ってはいけないという定めはありません。ただし、買主が建物を建てるときは、道路の境界線とみなされる線までの部分に建築物を建てられません。売る側は、宅建業者が契約の成立までに、建築基準法に基づく制限の概要を書面で説明することになります。後退の距離と範囲は、市区町村の建築指導の窓口に聞いて、売る前に確かめておきます。
セットバックした部分は、市に寄附しなければなりませんか?
国土交通省の運用指針は、2項道路の指定は所有権の制限ではなく使用権の制限だと説明しています。寄附は、市が設けている制度に申し込む形です。さいたま市は、後退部分を測量・分筆・登記して寄附申込書を出し、所有権の移転は市が登記します。国立市は、市道に接する土地でセットバック部分を寄附または無償貸与する場合の助成制度を設けています。制度の有無や助成の中身は市ごとに違うため、市に聞いてください。
セットバック部分の固定資産税は、必ず非課税になりますか?
必ずではありません。地方税法348条2項5号は「公共の用に供する道路」には課税できないと定めていて、豊田市・高砂市・国立市の案内は、利用上の制約がなく不特定多数の人が通れる状態を要件にしています。植木や自転車・自動車を置いている、フェンスがある、通行を禁止する表示があるといった場合は、非課税になりません。申告が要るかどうかと期限は市ごとに違うため、年内に市の固定資産税の担当へ聞いてください。
セットバック部分の相続税評価は、どう計算しますか?
国税庁の財産評価基本通達24-6は、将来の建替え時等に道路敷きとして提供しなければならない部分を有する宅地は、提供する必要がないとした場合の価額から、その価額に「提供しなければならない部分の地積÷宅地の総地積×0.7」で計算した割合を乗じた金額を控除して評価するとしています。実際の額は土地の価額と面積で変わるため、ここでは計算しません。申告は税務署か税理士に確かめてください。
セットバックの工事や測量の費用は、いくらかかりますか?
取得した原典に費用の額は書かれていません。市区町村によっては、費用の一部を助成する制度があります。国立市は市道に接する土地の測量・移転等に必要な費用の一部を助成する制度、西宮市は後退用地を道路として整備して市へ分筆寄付する場合に工事や測量の費用を助成する制度を設けています。対象になるかと額は、土地のある市区町村に聞いてください。
セットバックが必要な土地は、ラクウルで買い取ってもらえますか?
ラクウルの公式サイトのよくある質問には、「他社に断られた物件でも大丈夫ですか?」に「はい、問題ありません」、「建て替えが出来ない土地でも処分できますか?」に「建築基準法や都市計画法の観点なども考慮しつつ査定」とあります。ただし公式サイトにセットバックの語は出てきません。この土地が対象になるか、いくらになるかは、所在地や道の状況を伝えた査定で決まります。
参考・出典
- e-Gov法令検索 建築基準法(第42条・第44条)
- e-Gov法令検索 建築基準法施行令(第2条)
- e-Gov法令検索 地方税法(第348条)
- e-Gov法令検索 宅地建物取引業法(第35条)
- 国土交通省 建築基準法道路関係規定運用指針の解説(PDF)
- 国税庁 財産評価基本通達 24(私道)・24-6(セットバックを必要とする宅地の評価)
- 豊田市 道路後退(セットバック)に係る非課税申告について
- 高砂市 セットバック部分の固定資産税等について
- 国立市 セットバック等の土地の非課税について
- さいたま市 狭あい道路拡幅整備要綱
- 西宮市 狭あい道路拡幅整備助成金等交付制度について
- ラクウル(訳アリ不動産買取専門店)公式サイト
- ラクウル よくある質問
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の土地について、後退の距離、固定資産税の非課税、相続税の評価額、売却や買取の可否を保証するものではありません。実際の判断は、特定行政庁・市区町村の担当窓口・税理士・司法書士などの専門家や窓口に確認してください。