遺産分割協議書の書き方|書く項目と印鑑証明書の添付
遺産分割協議書は、亡くなった人(被相続人)の財産を相続人の誰がどれだけ受け継ぐかを、相続人全員で合意した内容として書面にしたものです。相続登記の申請や、相続税の申告で特例を使う場合に法務局・税務署へ提出する書類になるため、書く項目にはおおよその決まりがあります。法務局が公開している記載例をもとに、書く項目・手書きかパソコンか・印鑑証明書の添付・相続人1人のときの扱いまで整理します。
遺産分割協議書には何を書けばいい?
法務局が公開する記載例(登記申請手続のご案内・遺産分割協議編)をもとに整理すると、書く項目は次の4つに分けられます。
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 被相続人の特定 | 氏名・最後の住所・本籍・生年月日・死亡日 |
| 相続人全員の合意 | 相続人全員の署名と実印での押印(人数分) |
| 不動産 | 登記簿のとおりの所在・地番・地目・地積(建物は家屋番号・種類・構造・床面積) |
| 預貯金 | 銀行名・支店名・口座番号 |
このほか、協議が成立した日付、本協議書を相続人の人数分作成して各自1通ずつ保有する旨を書くのが一般的です。
相続人が2人(長男と長女)で、不動産を長男が単独で相続する場合の文例は次のとおりです。
遺産分割協議書
令和○年○月○日、○○市○○町○番地 ○○○○(被相続人)の死亡によって開始した相続の共同相続人である○○○○と○○○○は、その相続財産について、次のとおり遺産分割の協議を行った。
1 相続財産のうち、下記の不動産は、○○○○が単独で相続する。
2 この協議の成立を証するため、本協議書を2通作成し、各自が署名のうえ実印で押印して、1通ずつ保有する。
令和○年○月○日
住所 ○○市○○町○番地 氏名 ○○○○ 実印
住所 ○○市○○町○番地 氏名 ○○○○ 実印
記
不動産
所在 ○○市○○町一丁目
地番 ○○番 地目 宅地 地積 ○○○.○○平方メートル
法務局の記載例(被相続人の特定、相続人全員の合意の文言、署名・押印、不動産の表示の順)の構成に沿って書いた文例です。○○は実際の氏名・住所・登記簿の記載に置き換え、協議の結果に応じて書き直してください。建物を相続する場合は、家屋番号・種類・構造・床面積も書きます。
不動産・預貯金はどう書く?
不動産
登記事項証明書(登記簿)に記載されているとおりに、正確に書きます。土地は所在・地番・地目・地積、建物は所在・家屋番号・種類・構造・床面積です。住所や固定資産税の通知書に書かれた地番・家屋番号は登記簿上の表記とずれることがあるため、登記事項証明書を取得して書き写すのが確実です。
預貯金
銀行名・支店名・口座番号を書きます。不動産のように公的な原簿があるわけではないため、通帳やキャッシュカードの記載を確認して書きます。金融機関によっては、相続手続きの窓口で独自の様式(残高証明書の写しの添付など)を求められる場合もあるため、事前に各金融機関へ確認しておくと二度手間になりません。
遺産分割協議書のあと、登記申請書は手書きでも書けるか
不動産を相続する人が決まったら、法務局に出す相続登記の登記申請書を作ります。法務局の案内(登記申請手続のご案内・相続登記①/遺産分割協議編)によると、様式は法務局のホームページからダウンロードして作成できます。
手書きでも書けます。案内には、文字は「パソコン(又はワープロ)を使用して入力するか、黒色インク、黒色ボールペン等(インクが消せるものは不可)で、はっきりと記載してください。鉛筆は使用することができません」と書かれています。用紙はA4の縦置き・横書きで、片面だけを使い、添付書類と合わせて左とじにして出します。
案内の記載例で書く項目は、登記の目的、原因、相続人、添付情報、登記識別情報の通知希望、登記申請の年月日と申請先の法務局、課税価格と登録免許税です。遺産分割協議書は、このうち「添付情報」として申請書に付ける書類にあたります。申請の全体の流れは相続登記を自分でやる方法にまとめています。
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手書きとパソコン、どちらで作ってもいい?
遺産分割協議書の作成方法(手書きかパソコンか)について、法律上の定めはありません。法務局が公開している記載例もワープロで作成されたものです。重要なのは書式ではなく、相続人全員がその内容に合意し、各自が実印(印鑑登録している印)で押印していることです。パソコンで作成した場合でも、署名は自著、押印は実印で行います。
印鑑証明書は必ず添付する?
遺産分割協議書には相続人全員が印鑑証明書と同じ印(実印)を押し、その印鑑証明書を各1通添付します(登記申請人本人の分は除く場合があります)。この印鑑証明書は、作成後3か月以内のものに限るといった有効期限の制約はありません。
認印では手続きが進められない
遺産分割協議書に押す印は、市区町村に登録した実印である必要があります。認印を押してしまうと、相続登記や預貯金の払い戻しの際に受け付けられず、押し直しになることがあります。
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相続人が1人のときも作成が必要?
相続人が1人しかいない場合、遺産の分け方について話し合う相手がいないため、遺産分割協議書は作成不要です。相続登記を申請する際は、戸籍謄本などで法定相続人がその1人だけであることを証明すれば手続きを進められます。
相続税の申告でも使いますか?
相続税の申告で小規模宅地等の特例を使う場合、申告書に「遺産分割協議書の写し」など一定の書類を添付する必要があります(国税庁タックスアンサーNo.4124)。相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内で、遺産分割協議がまとまっていなくても期限は延びません(国税庁タックスアンサーNo.4208)。小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使う予定がある場合は、申告期限までに遺産分割協議書を作成しておく必要があります。
よくある質問
遺産分割協議書には何を書けばいい?
被相続人を特定する情報(氏名・最後の住所・本籍・生年月日・死亡日)、相続人全員の合意と署名・実印での押印、不動産は登記簿のとおりの所在・地番など、預貯金は銀行名・支店名・口座番号を書きます。法務局が公開する記載例(登記申請手続のご案内・遺産分割協議編)も、これらの項目を中心に作られています。
手書きとパソコン、どちらで作ってもいい?
作成方法(手書きかパソコンか)について法律上の定めはありません。法務局が公開している記載例もワープロで作成されたものです。重要なのは、相続人全員が内容に合意し、各自が印鑑登録している実印で押印していることです。
印鑑証明書は必ず添付する?
はい。遺産分割協議書には相続人全員が印鑑証明書と同じ印(実印)を押し、その印鑑証明書を各1通添付します(登記申請人本人の分を除く場合があります)。作成後3か月以内といった有効期限の制約はありません。
相続人が1人のときも作成が必要?
相続人が1人しかいない場合、遺産の分け方について話し合う相手がいないため、遺産分割協議書は不要です。相続登記の際は、戸籍謄本などで相続人が1人であることを証明すれば足ります。
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有料です(税込29,700円から。登録免許税と郵送費は別)。司法書士による代理申請ではなく、自分で申請するための支援サービスで、相続人に18歳未満の方や法定相続人以外の方がいる場合は使えません。